米沢箪笥を後世に

品質・経営ともに原木選びが重要

私どもの工場周辺一帯には、おびただしい数の材木が積まれています。
ほとんどが原木の状態で買い付け製材されたもので、最低5年以上、長いもので30年以上自然乾燥された状態になっています。
その多くが、木目の細かい良質な材料に仕立て上げられていて、箪笥に使う材木は長い年月をかけて雨風に晒すことで木の不純物を抜いていきます。
こうすることで製造後の木の反りを抑えていきます。
しかし、不純物を抜いたとしても、質の悪い木を用いては仕上がりの美しさはもちろん、木の狂いを抑えることが難しくなります。
いかに良質の素材を選び、良い材木に仕上げるかが製品の質を左右する決め手になるのです。
箪笥に使う欅は、樹齢400年以上の山欅。
人の入らない山奥で、岩混じりの悪い環境で風雪に耐えて生き残った木が理想です。
枝折れにより、表面に凹凸のあるようなものこそ、柔らかく木目の細かい良材になる『人間も一緒の木をみればどういう環境で育ったのかが見えてくる』というかつての亡き先代の言葉を思い出します。
また、原木からの買い付けは、製造コストをできるだけ抑え、価格が高くなりがちな伝統工芸品の競争力を高めるという意味もございます。

真面目にものづくりを

長い間堅実にものづくりに励んできました。
木材の質はどこにも負けていないと自信を持っています。
米沢箪笥は米沢以外には無いもの。
その火を消さないよう先代が残してくれた遺産を後世にも残したい。
代々使っていただいているお客様にもお返しをしないといけない。
かつての職人からの教えを頑なに守って真面目にものづくりをしていきたいと思っています。

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